蝶々

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ひらり、ひらり。 小さな蝶々が飛んで行く。 北風に煽られていても。 子供たちに追いかけられていても。 負けずにひらひら飛んでいる あなたの探し物はまだ無いのに 必死に、必死で。探している 「無理しないで」 「休んでいて」 言っても恐らく聴かないだろう あなたは"今"を生きているから あなたには"今"が大切だから 澄んだ青空に浮かぶ雲に とけていく様なアナタを見て なぜか涙が込み上げた それはあなたが消える事を 知ってるからかな? あなたと同じようなものを 幾度も見たことがあるからかな? 知ってか、知らずか。 あなたは空高く舞い上がる 私の手の届かないところへ ひらり、ひらひら。 やがて見えなくなった たった一羽の 小さな蝶々。
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