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「アスク・シーカーだ」
アスクは言葉をかけるが、娘はまだ呆然としていた。
「名前を打ち込むのではなかったのか?」
「……っはい?!」
娘は思い出したかのように機械にアスクの名を打ち込む。
「さすがは“旋風”だね」
クードがワザとらしく大声で言った。周りの野次馬達がざわめいた。
「おいそこの子分ABC」
クードはようやく意識を取り戻し始めた子分達に声をかける。突然声をかけられた子分達はかなり怯えた様子だ。
「彼女の気が変わらないうちに、そこで寝ている豚を連れてとっとと消えるんだな」
弾かれたように子分達はゴンザレスを引きずり逃げていく。野次馬達はまだアスクに好奇の視線を向けていたが、段々とギルドの中はいつもの騒がしさに戻っていく。
「カウンターを壊してしまったな」
「大丈夫です、修理代はあのゴンザレスって人達の口座から引いておきますから♪」
アスクの言葉に娘は力強く言う、やはりギルドで働く女性は逞しく、したたかだなと、アスクは微笑む。
「それでは、依頼人がそちらにいらっしゃいますので、でアスク・シーカー様の依頼受付を完了します、頑張って下さい♪」
受付を済ませたアスクにクードが近づく。
「とりあえず二階に行こうか、依頼内容はそこで話すよ」
先だって歩くクードの後ろにアスクも続く。
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