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鏡を見た瞬間人影が走っていくのが見えた。
俺は体が氷ついた・・・
風呂場にいるのに全身に鳥肌が立つ、今のは気のせいだと何度も自分にいい聞かすが体は正直だ、心臓が異常に速く動いている。
朝見たものよりはまだ怖くはない。
だが風呂場から出るのにあんなドキドキしたことはない。
俺は風呂を出て、服を着て逃げるように外に出た。
とりあえず外に出て車まできたがどこに行こう?
俺は車内で考えていた。いま出かけても夜にまた帰ってくるのか?とてもじゃないがあの部屋で夜は過ごしたくない。人に相談しても解決するとは思えない、相手がまだ人間なら話し合いにもなるんだが今回は人ではない・・・
幽霊に友達なんていないしなぁとバカなことを考えた瞬間ひらめいた!
「じいちゃんのとこ行こう!」
ちなみにじいちゃんは何年も前に死んでいる。
墓参りに行こうと考えたのだ。それで解決するとは思っていないが、何もしないで夜をむかえたくなかったからだ。
俺の家から車で40分ぐらいで行ける距離に墓がある。墓に着いた俺は、墓を磨き花をそえ、線香をあげた、思えば一人で墓参りに来たのは初めてだ。
怪奇現象の話とは、ずれるがじいちゃんとは結構仲がよかった。
酒とタバコは医者に止められてもやめられず、年金で競馬競輪三昧だった、まぁ自分の年金だから使い道は自由だと思うが。
俺が十代ころから心不全でよく入退院を繰り返していた。入院するたびによく馬券を買いに行かされた。未成年の俺が、あげくに同じ病室の知らないじいさん達の分までたのむから断れない。
ここまで聞けば人のいいじいちゃんだが俺が廊下に出てすぐじいちゃんも出てきてこう言った。
「○◇さんと□△さんの分は飲んでいいから」
楽しそうに言ってくる。
ちなみに「飲む」とは購入予定の馬券がハズレるとよみ馬券を買わずに代金を自分のモノにすることである。
だがもし当たってしまった場合は代金×倍率を自腹で払い戻すことになる。
そんなことが大好きなじいちゃんだった。
俺は昔のことを思いだしなから手を合わせた。
部屋で起きる怪奇現象をどうにかしてくれと祈りながら。
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