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降り注ぐ雪の中を私は一人歩いている。次第に風が強くなり、吹雪になってきた。視界が暗い。私はきっと疲れているのだろうと思った時、小さな少年が現れた。少年は北国の住人が着るような白いコートに身を包み、帽子を深くかぶっている。
私の前で立ち止まると懐からある物を取り出して、私に差し出した。それはスケッチブックだった。
「何か描いて」と少年は無邪気な笑顔で私を見上げた。その瞬間、辺りがぱっと明るくなった。
受け取ったスケッチブックを見ると、そこには無数の茶色い焦げ跡があった。少年の足下には、すすで汚れた機関銃がごろりと転がっている。
あぁ、この子は―……と思い、まじまじと少年を見る。雪のような真っ白い肌と、目鼻立ちがくっきりとした美しく顔に無機質という言葉が浮かんだ。
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