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手術から約2週間が経った。
私は精神的にも肉体的にも病んでいた。鬱(うつ)になりそうだ。いや、もうなっていたのかも知れない……
その2週間の間、私はずっと無表情のままだった。
両親や身内の者がお見舞いに来てくれていた。私しは笑顔を見せていたのだろうか!?……わからなぃ………覚えてない…………
そんなある日、私はトイレに行こうと思い、ベッドから降りようとした。長く下半身を動かしていなかった為、上手く起立状態を保つ事が出来ない。何かに持って歩いて行けば大丈夫だったのに、なぜか自立歩行してしまった。
『がったぁーーーん‼‼』
見事に大転倒。私はまたしても、うずむく。大きな音に引き寄されるかのように看護師数名が駆け付ける。
2人介助でベッドに戻される。その中には私の担当看護師が居た。
その後は皆も予想出来ると思うが、担当看護師からのお説教だった。
担当看護師は私に色々と言っている。その時の私は人の話を聞ける程の余裕も無く、ずっと呆然と窓の外を見ている。
看護婦:『人の話ちゃんと聞いてるんですか?💢』
私:『……………』
看護婦:『なぁ?』
私:『……………』
その後、看護婦は呆れた顔をして病室から出ていった。
その担当看護師はどういう感じかと言うと、歳は20代後半ぐらいで少々背は低め、顔は綺麗な感じだが、気が強そうな人だった。
その次の日、私の病室に担当看護師が入ってきた。
看護師:『失礼します。〇〇さん‼ドクターから明日に抜糸すると言われているので、身体だけ綺麗にしときましょうね‼』
私:『…………』
無視!していた。看護師も私が喋らない人だ!と認識しているようで表情変えぬまま上半身の清拭を始めようとする。
その時、私は『火傷を人に見られる‼また何か言われる‼』と思い、必死で手で脱衣を防ごうとする。
看護師もびっくりしたのか一瞬手を戻した。
落ち着いて考えれば、看護師が入院患者にそんな暴言を吐くような事はしない!むしろしてはいけない!と言う事ぐらい分かる。だがその時の私には過去のトラウマが一瞬蘇ってしまったのだろう。
看護師:『大丈夫‼怖がる事なぃからなぁ‼』
優しく笑顔で言う。
私は嫌だったが、もう、どうしようもなかった……
清拭が始まる。
私は嫌そうな顔をしながら目を閉じている。
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