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中に入ると今まで体験したことのない匂いに体が包まれた
これはたぶん、タバコの煙の匂いと…お酒の匂い…あと、香水?お香?
そして何よりもたくさんの人が居た。
入り口から少し進むと、右側にカウンターらしき場所があり、
一人の若い女の人がカウンターに肘を付き、中にいる人と何か話をしている。
黒いジーンズに黒いブーツ、丈の長いTシャツには女の子が中指を立てているプリントされている。
黒いニット帽からはチリチリの茶色い髪の毛が肩の辺りまで飛び出してる。
独特の雰囲気を放っていた。
「あの…」
ぼーっと見ていた僕の後ろから
達哉がカウンターの前にいる女の人に話しかけた。
「はいはーい♪…あぁー」
その女の人は僕たちをちらっと見て納得したように頷いた。
その後カウンターのほうを見て
慶太、お客さんだょーと続けた。
するとカウンターの中からだるそうにぬーっと男の人が体を乗り出してきた。
「チケット拝見しまーす。あとドリンク代が500円になりまーす」
慶太と呼ばれたその人はカウンターを挟んでいるとはいえ、
見るからに長身なのが伺えた。
灰色の長袖の上に有名なイギリスのパンクバンドのロゴが入ったTシャツを重ねている。
髪の毛にはパーマがかかっていて右目が隠れていた。
すると達哉が、
「あ、あの…オレ、耕太の弟なんですけど…」
すると、だるそうな目が少し開き。
「あぁ、聞いてるよ、耕太の弟さんね。ドリンク代はもらってあるから…よし、入っていいよ」
チケットに判子を押し、チケットとは別の物を一緒に渡された。
「あの、これは…??」
僕は訪ねてみた。
すると、横からカウンターにいた女の人が割り込んで来て、
「あぁ、それはドリンク券ね。その券と引き換えで、飲み物をもらえるんだ。ここで交換できるから」
と言った。
ありがとうございます、と軽く会釈をし先に進んだ。
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