ライヴハウスにて

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カウンターから少し行くと、待ち合い室のような広い空間に ベンチのようなイスが置いてあり、奥に扉があった そしてたくさんの人が雑談をしていた。 周りを一目見て、今の自分が少し恥ずかしくなった。 見渡す限りにいる人たちは みんなかっこょく、そして可愛いく、とてもお洒落で大人な人たちだった。 「すげぇー…なぁ、あの人さ、めちゃめちゃ綺麗じゃね??」 健太が指を指した先には、一人の女の子が居た。 目はとても大きく、真っ白な肌に赤い頬っぺた。 髪の毛は金色で長くパーマがかかっていて、両サイドを縛っていた。 身長は僕より少し小さいくらい。 服装は少し派手で、ボロボロでダボダボなジーンズの中にはピンクのスパッツ、 上は大きいアメコミのキャラが入ったタンクトップをキャミソールのように着ている いわゆる古着系だ。 そして、明らかに周りとは違う空気を放っていた。 「あー…確かに凄く可愛いな…まぁ、何にせよ、お前には一生縁がないだろうけどな」 なぁ??と達哉は笑顔で僕に尋ねた。 その瞬間、 奥の扉が開き、 中から、そろそろスタートしまーすと声が聞こえた。 達哉が 「よし、行くか」 と発したと同時に、 僕の横をすっと、人が通り過ぎた。 その瞬間、破裂しそうなくらいに心臓が鳴った。 そう、あの女の人だ… やっぱり…凄く可愛い…そしてとてもいい匂いもした。 あ、目が合った。 彼女はすれ違い様に右目でウインクをした。 その右目に泣きボクロのように付けられた ハートのスパンコールが目に付いた。 「アキ!!早く行くぞ」 「あ…、うん」 完全にその女の子に意識を持っていかれていた僕は、 達哉のその一言で我に帰る。 そして、すぐさま達哉を追って扉の中へ向かった。
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