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俺が途方にくれていると、ドームの方から見覚えのあるPCが二人、こちらに向かって歩いて来るのが見えた。
あの二人は…
「シューリンと鉄夫だ!」
俺のこの世界での唯一の知り合い!
そうだあの二人だ!あの二人ともっと仲良くなろう!
そうすればゲームが楽しくなるに違いない!
そう確信した俺は走った!シューリンさん!鉄夫さん!俺と友達になってぇぇぇぇぇぇ!
「シューリンさ…」
「見付けましたよ!シューリン殿ッ!!」
二人の気を引こうとして。俺の力一杯の叫びが、いきなり横から割って入ってきた声に遮られかき消えた…
何事かと思って声の主を見ればそこには、和服に袴の、
侍のような姿をした一人のPCがおり、ずかずかとシューリンに向かって詰め寄って行った。
「ゲッ!銀杏(いちょう)!」
シューリンがあからさまに不機嫌な声を上げる。
「げっ、とは何ですか!」
そして始まる押し問答。
「聞きましたよシューリン殿。先日PK行為を行ったとか」
「PKじゃない、決闘だ!」
「同じ事です!良いですか?
貴方はれっきとした月の樹の隊員!ネットの調和のため働かなくてはならないのです!
もっと自覚を持っていただかないと!」
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