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人が集まる広場の真ん中で、
一人の男が身振り手振りを加えながら熱く、激しく演説していた。
「月の樹とはすなわち平和の守護者。PKがはこびり秩序が乱れたこのThe Worldに調和をもたらすべく…」
シューリンが呆れている。
「…人々に慈愛と協調の精神を説き、そして我々が見本となって、理想のネット世界を作るのです!」
鉄夫が笑いをこらえている。
「だからこそPKなんてもっての他!あれは野蛮な行為です!今すぐ廃止するべき悪しきシステムです!我々月の樹は、PKシステム廃止運動もしています!」
…うわ、月の樹じゃん…
また勧誘してる奴いるよ
うっぜぇなぁ…
まんま宗教だよな、アレ(笑)
自分の演説に酔いしれている銀杏の声はデカイ。
ので、広場に居る他のPCにも聞こえているのだろう。
銀杏の演説に混じってPC達のヒソヒソ話が聞こえてくる。
「わかっていただけましたか、リュウセ殿?!」
「へ?!あ、はい!」
突然銀杏に話をふられて適当に返事をする俺。
「そうですか!わかっていただけましたか!では早速月の樹に入隊しましょう!」
「はいあの………はいぃ?!」
勝手に決められた?!
「月の樹の隊員はみな優しくて親切で礼儀正しく、きっとリュウセ殿も気に入っていただけます!さぁ、善は急げ、今すぐギルドに行きましょう!」
「え?あの、ちょっと待って」
銀杏は俺の腕をがっつり掴んで放そうとしてくれなかった…。
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