3179人が本棚に入れています
本棚に追加
「共にこのThe WorldからあしきPKどもを根絶やしにしましょう!」
言いながら銀杏は俺の手をぐいぐい引っ張っていく。
ああ、今まで激しい孤独感に囚われていた俺…こうやってフレンドリーに絡んでくれることは本来喜ばしい事なのに、なぜだろう、激しく逃げ出したい…
ナニコノ複雑な気持ち。
…ちなみに。
PKというのはプレイヤーキラーの略で、PCが他のPCを襲う事。
このThe Worldというゲーム、好んでPKを行う奴もけっこう多いらしい…。
俺はまだPKに出くわした事は無いけど、確かに話を聞く限りだと迷惑な存在だと思う。
…けど、俺は月の樹に入りたいとは思わなかった。
…つか、この人について行きたくない…
俺はどうしたらいいかわからずさっきから傍観モードに入っている鉄夫とシューリンに助けを求める。
「シューリンさぁん…鉄夫さぁん…」
仕方ないなぁ。
そんな顔をしながら鉄夫がてくてく歩いてこちらに近づく。
「銀杏たん銀杏たん。気持ちは分かるけどリュウセちんはまだThe World始めたばっかりなんだからぁ、そんな月の樹月の樹言っても分かんないって~」
鉄夫から放たれた、待望の助け船!しかし負けじと銀杏も負けじと反論する。
「…しかし、初心者はPKのかっこうの餌食。月の樹で保護したほうが…」
保護て。
ちょっとツッコミたいトコロだが、話の腰を折らないためにここは我慢我慢。
頑張れ鉄夫、負けるな鉄夫!
最初のコメントを投稿しよう!