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熱帯の巨大な葉が跳ね返り、鮮やかなるり色の羽根をひるがえしてコノハドリが数羽、雨垂れのように転がり飛んでいった。
その羽音の連鎖に近く遠くの葉陰にひそむ南国の鳥たちが、花のように乱舞して木陰に散っていった。
覚えたての恋歌をだれに聴かすのか、姿のみえない恋人にむかってつらつらと訴えている。
折りかさなるようにして頭上をおおう照葉樹のひろい葉。
ざわざわとゆれ、警戒に満ちた声で鳥たちが先導を引きうけ、そのあとを大きな獣が枝から枝へと移りゆく。
蒸しかえる緑としめり気をおびた茶系の群生。銀色の陽のきらめきが斜に切断し、奥へと空間をつくりあげた。
突如、森の緑の垂れ幕がわれた。
日に焼けたことのない黄色味のある肌があらわれ、少年の顔がのぞいた。
明るいくじゃく色の目がせわしなくあたりをうかがった。
うしろにかきあげた砂色の長い髪が汗にしめり、額と首回りにへばりついて、くすんだ金鎖をつらねている。
少年は上半身をさらして、貫頭衣を腰もとでまるめてくくり、たすきがけにふくろを担っていた。
長身の少年は片手になたをもち、熱帯の森のなかを突き進んでいった。
少年は研究の対象となりうる材料を採取している途中だった。できうるならば生きたままとらえ、父でもありマスターでもある魔法使いにそれをもっていこうと。
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