自分のお葬式

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私が通ってる心理学の教室は講師の先生が本当に熱心です。どの先生も必死に授業をするので、どうしてこんなに熱心に授業ができるのか不思議に思っていました。 先日、この教室を開設した先生の話を聞いて理由が分かりました。 この先生が中学生だった頃、お父さんがいつも、浮気をしたり、毎晩遅くまで飲んで帰って来たりする状況でお母さんが悩んでいました。 そんなある日、小学校の妹と二階で遊んでいると、一階で物音がしたので急いで階段を降りると、お母さんが犬の消毒剤を飲んで苦しんでいました。どうすることもできなくて、お母さんはそのまま亡くなってしまいました。 涙をこらえてお葬式に参列していた時、知り合いのおばさんが、 「どうして、あんな人と結婚してしまったんだろうね…。誰か相談できる人がいたら、自殺なんてしなくてすんだのにね」 と話しているのを聞いて、とてもやりきれない思いになったそうです。 「自分がお母さんの相談相手になってあげることができていたら、お母さんは自殺しなかったかもしれない」 と思って自分を責めたそうです。先生は、 「私が心理カウンセラーになったのは、母のように悩んでいる人を1人でも救いたいからです。誰かに相談できれば、命を救える人がいるはずです」 と熱く語ってくれました。この先生の思いが他の先生にも伝わっていると思います。だから、どの先生も熱心だったのです。 本当にしたい仕事をしなければ、力を発揮することができないと思います。 自分の仕事が、どのように人に役立っているのか考えたいですね。
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