感動の物語

自分を成長させてくれる物語

ある先生が小学校五年生の担任になりました。クラスの生徒の中に、勉強が出来なくて、服装もだらしない不潔な生徒がいました。その生徒の通知表にはいつも悪いことを記入していました。
ある時、この生徒が一年生だった頃の記録を見る機会がありました。そこには、
『明るくて、友達好き、人にも親切。勉強も良く出来る』
と書いてありました。間違ってると思った先生は、気になって二年生以降の記録も調べてみました。二年生の記録には、
『母親が病気になったために世話をしなければならず、ときどき遅刻する』
と書かれていました。
三年生の記録には、
『母親が死亡、毎日、悲しんでる』
四年生の記録には、
『父親が悲しみのあまり、アルコール依存症になってしまった。暴力を振るわれているかもしれないので注意が必要』
と書かれてありました。
先生は急にこの生徒が愛おしく感じました。放課後、先生はこの生徒に、
『先生は夕方まで教室で仕事をするから、一緒にしない？！』
と男の子に声をかけました。男の子は、微笑んで、その日から一緒に勉強することになりました。
卒業式の日に先生は男の子から、
『先生はぼくのお母さんのような人です。ありがとうございました』
と書いたカードを受け取りました。卒業した後も、数年ごとに先生は男の子から手紙をもらいました。
『先生のおかげで大学の医学部に受かって、奨学金をもらって勉強してます』
『医者になれたので、患者さんの悲しみを癒せるようにがんばります』
などと手紙に書かれてありました。