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あれから三年あまりの歳月が流れた…
我が子も四歳になっていた…
そんなある日私の父がお墓を建てたとの事で…そのお墓に出向いた…
生後三ヶ月で亡くなった姉夫婦の子供が先に入る事になっていた…
まだ生きている人間の名前も墓石に刻まれていた…赤字で…
お坊さんに言葉を頂く事になっていた…
滅多にくる機会のない墓地…
何気に見てまわっていた…
ふいに一つの墓石の前で足がとまった…
可愛いぬいぐるみやお菓子が供えられていた…
墓石の後ろを何気に見た…
幸子……享年17才と刻まれていた…
一瞬にしてあの記憶がよみがえった!
まさかね……
そう思った…
間もなくお坊さんがあらわれ…長いお経を唱え始めた…
最後に合掌し…終了した…
墓地を後にする私達…
前方から中年の夫婦らしき二人が歩いて来た…
私は二度見してしまった!
すれ違う時に軽く会釈しあった!
あの長椅子の女性だった…
あの偶然に見かけたお墓…
あの病院で亡くなった…少女の…
私は振り返る事はしなかった…
全くの他人…
それなのに……
なぜかめぐりあってしまう…
私には何も出来なかったし…
ただあの長椅子に座っていた女性が微かに微笑んでいたような気がした…
あれからもう九年がたった…
我が子も13才…
幸子さん…生きていたなら…26才…
赤ちゃんを抱いていたかもしれない…
どうぞ安らかに…
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