64人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
休み時間になると愛ちゃんの周りにクラスメートが集まって質問が飛び交った。
学校生活に慣れていない愛ちゃんはその声が怖くて仕方なかったが誰一人として気づくものはいない。
その日の放課後
昇降口で愛ちゃんは一人の女の子に声をかけられた。
「一緒に帰らない?」
それは優しく静かな声で、質問攻めにしてきたクラスメートたちに感じた怖さがなかった。
「……うん」
「良かった」
その子はニッコリ微笑んだ。
「まだ覚えてないと思うけど私クラスメートの早乙女華子よ、よろしくね」
愛ちゃんは覚えていなかったことを否定できずに言葉に詰まった。
そんな愛ちゃんをみて華子ちゃんは笑顔をむけた。
その愛らしさは天使かと錯覚するほど優しい笑顔だった。
華子ちゃんもかなりな美少女で、大きな瞳はグレーがかっていてプルプルの唇はピンク色、くるくるの巻き毛がまるでお姫様みたいだった。
「ゆっくり覚えればいいじゃない。気にすることないわ」
「あ、りがとぅ……」
「ところで愛ちゃんは何の病気なの?」
この一言が二人をぐっと近づけた。
最初のコメントを投稿しよう!