第Ⅷ章【重なり始めた糸】

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「お前そんな傷を医者にもみせ  ないつもりだったのか?」 少女は土方をいつもの如く無視した。 土方はチッと舌打ちをしただけで後は黙っていた。 「ふー」 「終りました?」 「そんなわけないでしょ。          縫います」 「ええええええ!!!!??」 周りは縫うよりも珠里の声にビックリしたようだった。 「縫うに決まってるでしょう。  こんなザックリ………」 「そんなぁ………」 と力なく叫んだ。 「クックックックッ…」 土方は腹をおさえ日頃ムカつく珠里がそんなめにあいざまみろ…と思っているのであった。 ムカッ 「色男さん笑わないでくれます  ?ムカつきます!!」 「クックッ……」 土方は笑い続けた。あえて小さい笑い声で。 「ちょ……!「動いたら針ささ  っちゃいますよー」 「総司さん!!あの人なんとか  して下さいよ!」 珠里はあいている右手で土方を指さした。 沖田はただただ傍観して土方はただただ笑っていた。 「私は二人のやりとりが楽しい  です♪」 と突然言った。近藤もこれには頷いた。 「歳と珠里殿のやりとりは本当  楽しいなぁーみていると面白  いぞ!」 (早くくっついてもらいたいものだ) ハッハッハッと笑う近藤。 「「面白くない!!」」 と声をあわせていう二人。 「息ぴったりじゃないですかー♪」 沖田はさらにからかう。 「そーじぃー」 いつの間にか土方はキレていた。 「治療中なんですけど」 ポツリといった医者の一言で場は静まり返った。 皆さん治療中は静かにしましょう。  
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