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毎日のように連絡は取り合っていたのだが、別に付き合っているわけではなかった。一緒に食事に行ったり、映画を見たりドライブしたり……。
“特別仲のいい友達”という関係だった。
そんなある日、朔良からの連絡が突然途絶えた。
俺がいくら電話してもメールを送っても全く返事が返ってこない。
徳井「どうしたんやろ?」
俺は気になって、朔良と一番仲のいい友達の野波さんに聞いてみた。
野波「朔良なら実家に帰ってますよ」
徳井「えっ、そうなん?」
俺は少しホッとした。
徳井「けどなんで?」
野波「………。」
少し間があった。
野波「三日前に朔良のお母さん…
亡くなったんです」
徳井「え……」
野波「それで朔良ショックから立ち直れないんだと思います。あたしも何度か連絡取ってみたんですけど、全然取れなくて…」
徳井「そうやったんか…」
俺は野波さんに礼を言い、マンションへと帰った。帰り道俺はずっと朔良の事を考えていた。
お母さんが亡くなった……それはかなりの打撃だっただろう。
(“朔良を支えてやりたい…”)
俺は心の中でそう思った。
それと同時に俺は朔良に電話をかけていた。
プルルル… プルルル… プルルル…
何度もケータイを鳴らす。が、出ない。
プルルル… プルルル… プ…
朔良「……もしもし?」
繋がった!!
徳井「あっ、もしもし?俺やけど…」
朔良「義実ちゃん?
ゴメン。電話出れんくて…」
徳井「気にせんでえぇで★」
朔良「………。」
徳井「………。
朔良?」
朔良「ん?」
徳井「大丈夫か?」
朔良「………。」
返事はなかった。
ただ確かなのは、電話の向こうで泣いているということだった。
朔良「………会いたいな」
徳井「え?」
朔良「今から会えん?」
珍しく朔良から誘われた。
徳井「ほな今から迎えに行くから。家で待っとき?」
俺はソファに脱ぎ捨てていた上着を手に取り玄関のドアを開けた。
徳井「……………えっ!!?」
玄関を出ると、朔良が立っていた。
徳井「ど、どうしたんッ?!!」
朔良「ビックリした?ちょっと驚かしたろ思うて(笑)」
朔良はそう言いながら笑っていた。だがその笑顔は本当の笑顔ではないことぐらい、俺でも分かった。
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