mythology

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人気のない路地裏。 息を切らして走る一人の少女。後ろからそれを追いかける黒い影。長い髪を風に翻し、必死に走る少女はとうとう行き止まりに捕まってしまった。 『……!』 急に立ち止まり、辺りを見渡すが抜け道などはない。心臓はバクバクと激しく鼓動を刻んでいる。後ろからの足音が止み、コツコツとゆっくり歩を進め近付いてくる。 『…いやぁ…来ないで!!』 黒い影はゆっくりと少女に近付く。少女は後退りするが、壁にぶつかった。これ以上逃げられない。少女は意識を手放した。 刹那、倒れた少女と黒い影の間に立ちはだかる一人の影。 「…娘を我に渡せ…」 現代に見合わぬ古代風の衣装に身を包んだ170くらいの身長の青年は刀の先を黒い影に向ける。 「否…この娘を守護するが任務…貴様が引け」 後ろの少女にチラッと視線を落とすと、再び鋭い眼光で黒い影に向ける。 「…仕方あるまい…忘れるでない……娘を奪うが主の願い」 黒い影はそう言い残し姿を消した。青年は気配を詠む。どうやらこの世界からは消えた。青年は少女を抱き抱え瞬動で少女の家に向かう。 着いた先は純日本邸宅の広い屋敷。
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