mythology

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ここは少女の生家。由緒あるやんごとなき血筋の姫…青年は少女に仕えているのだ。 「水蓮様!!」 屋敷の中から女中が出てくる。走ってくる女中は青年に抱えられた水蓮を見るなり顔が青ざめていく。 「煉華殿…気を失っているだけだ」 煉華はこの少女…水蓮が生まし頃から仕えている女中だ。青年は水蓮を煉華に任せると、踵を返し屋敷の外へ向かう。 「天照…どちらへ?目を覚まされたら水蓮様はあなたを探されますよ?」 「わかっている…小さい頃からそうだからな…」 天照と呼ばれし青年は神の末席に名を連ねる神将。彼は水蓮がこの世に生を受けたその時より水蓮に仕えているのだ。破滅を象徴する強力な通力、無を表す灰色の瞳。すべてが忌み嫌われた存在だった。 初めて天照を見た水蓮は言った。 ―つくよみ!ずっあたしのそばにいてね― 幼き頃から天照ではなく二つ名“月詠”と呼んだ水蓮。 水蓮の家系は代々男子は陰陽師、女子は巫女になる運命にあるのだ。二人の兄と、二つ上の姉も皆そうだ。やんごとなき血筋ゆえに強靱な霊力を持ち、悪しき物にその力を狙われる。小さい頃から天照は水蓮を守ってきたのだ。
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