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水蓮は生涯ただ一人の主。そう決めたのは水蓮が4歳の時だった。
両親は全国各地からの退魔・祈祷などの依頼で家にいることが少なかった。水蓮は遊び盛りなのに一人で屋敷で遊んでいた。
『つくよみ~!あ~そぼ♪』
天照の姿を見るなり後ろから足にしがみつく水蓮。驚きのあまりに天照は水蓮を振り払った。今まで好き好んで天照にしがみつくなど、する者はいなかった。突然のことに振り払われた水蓮は泣き出した。
「…な…泣くな…姫…」
水蓮の兄や姉たちは、天照の通力に怯え近くによろうともしないため、子どもと面と向かった事がない。泣く水蓮を必死になだめていると、水蓮はいきなり天照の頬をつねった。
『…ひめじゃ…ないもん!…すいれんだもん…』
しゃくりあげながら泣き続ける水蓮を膝の上に座らせ、頭を撫でる。しばらくすると泣き疲れたのか、水蓮はスヤスヤ眠っていた。
こんなに近くにいるのに通力に怯えずにましてや抱き付いてきたのは水蓮が初めてだった。腕にしがみついて離れない。
「あらあら…天照が一緒でしたのね…」
振り返ると煉華が肩をなでおろし天照を見ていた。煉華は天照の横に座った。
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