mythology

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その習慣は今でも変わっていない。 月詠の姿が見えないと風邪を引こうが、熱があろうが水蓮は屋敷中を探し回るのだ。だから宇津萌から冷たい視線を刺されるのだ。 「天照!…水蓮様のお体の事をもっと大事になさい!」 宇津萌は同じ神将で、月詠とは犬猿の仲なのだ。だから最大限関わらないようにしている。お互い嫌悪を示す二人だが、主には忠誠を誓っているのだ。 「では水蓮から離れぬよう心掛けよう」 まだ小言をブツブツ言っている宇津萌を横目に水蓮の部屋に向かう。 平安時代の寝殿造りのこの屋敷の渡殿を進むと水蓮の部屋がある西対屋に続いている。ひんやりとした廊下を渡ると庭に面した廊下に水蓮は座っていた。 月詠は部屋の中から上着を取り、水蓮の肩にに被せる。 『ありがとう、月詠』 水蓮は肩に羽織っただけの上着に袖を通す。月詠は少し後方に壁によりかかり座った。すると水蓮は月詠の膝の上に座る。 『ねぇ月詠?最近あたしのこと…避けてない?』 「そんなことはない」 上目遣いで月詠を見上げる水蓮。そんな目で見られるとこっちが困ってしまう。水蓮は納得がいかないようでジーッと月詠の顔を眺める。
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