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「天照!!」
胡蝶は立ち上がり、須佐を追おうとしたが、周りに結界を張られ、月詠の気配を追う事ができなかった。
「水蓮様!」
胡蝶は水蓮に駆け寄った。一通り見た限りは怪我はしていない。
しばらくすると、周りを囲っていた結界が消えた。胡蝶は月詠の気配を探るが、まったく見つからない。
「胡蝶!!」
声がした方を振り返ると、宇津萌を伴った劉心がいた。
「劉心、天照が須佐とかいうヤツに…」
須佐の名前を聞いた瞬間に劉心の顔が青ざめた。
「劉心様?」
宇津萌が名を呼ぶが、劉心は須佐の名を呟いた。
「胡蝶!!月詠の気配は!?」
劉心は胡蝶の肩を掴み、鬼のような形相で詰め寄った。
「そっ…それが…その…須佐ってヤツの気配も…天照の気配もどこにも…」
「劉心様…その須佐という者はあま…月詠とどんな関係が…?」
劉心は水蓮を横目に見て、宇津萌と胡蝶の方を向いた。
「月詠と須佐はこの世界にはおらん…たぶん岩戸神社だろう…」
岩戸神社とはかつて天照大神が姿を隠したと言われる天の岩戸が奉られている神社で、この世とあの世の境にあると言われている。
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