mythology

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あまりの眩しさで目をつぶった。 もう月詠の気配は感じられなかった。 「月詠…!」 「胡蝶…お前は屋敷に戻り水蓮の護衛…それと屋敷を囲む結界を」 胡蝶は無言が肯定とし、風を起こし姿を消した。 劉心は宇津萌を伴い、奥へ進んでいく。いくにしたがって、霊力が風に溶け込み、強く吹き荒れる。 「皆さんお越しが遅かったですね…」 「須佐…!月詠を…月詠を返しなさい!!」 須佐は最初は肩を震わせ笑っていたが、だんだん大声で笑い出した。 「月詠はいない…あの方は我が姉アマテラス様だ!!」 須佐は腰元から刀を引き抜き、宇津萌に襲いかかった。が、宇津萌が一歩早く須佐の心臓を一突きで貫いた。 「我を…倒…し…ても……天照は…戻…らな…」 須佐は息絶えた。 須佐を倒したところで月詠は戻らない。宇津萌はその場に崩れ落ちた。 「またか…また私は…お前を……失うのか…?」 『失わせはしない!!』 劉心は耳を疑った。 屋敷に連れ帰ったはずの娘の声がした。そんなはずはない。風邪で寝込んでいるはずだがらだ。 だが振り返ると、巫女の装束に身を包んだ水蓮が立っていた。
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