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そばには胡蝶が控えている。まぎれもない、本当に水蓮だ。
『お父様、ここから先は私に行かせてくださいっ!月詠は私が助けてきます!』
「……わかった…。宇津萌…」
水蓮は首を横に振った。
『私一人で行きます』
「水蓮様!それは危険です!月詠はもう月詠ではない…アマテラスなのですよ!?」
『それでも一人で行かせてください…』
劉心たちは顔を見合わせた。宇津萌と胡蝶には決定権はない。主が下したことにただ従うだけだ。
「宇津萌…水蓮を信じて待とう…」
『必ず月詠を連れて戻ってまいります…』
水蓮は長い黒髪を翻し、奥へ走って行く。
甦ったばかりのアマテラスの周りには凄まじい霊力が溢れていた。
『月詠…』
水蓮が呟くと、アマテラスは水蓮を振り返った。
「お主…何者じゃ!?」
アマテラスは声を荒げ、水蓮を睨み付けた。
『月詠…私よ?水蓮…お願い…元の月詠に戻って…』
アマテラスは水蓮の声に反応し、頭を押えその場にうずくまった。水蓮は神に祈りを捧げる。
―今ここに汝を呼ぶ…神将・月詠!―
天から光がアマテラスに注ぎ包み込む。
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