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光の柱がはじけ飛ぶ。
月詠が元の姿に戻っていることを水蓮は願った。だが無情にも神は願いを聞き届けてはくれなかった。
『そ…そんな…』
水蓮の頬を涙が伝い、両手で顔を覆う。だか、指の間から涙が溢れる。
「…な…なんじゃ…これは…?」
水蓮が顔を上げると、アマテラスの頬には光るものが見えた。たとえ記憶はなくとも心は覚えている。
泣かせたくない愛しき人のことを。
『月詠…?月詠思い出して!』
「うわぁぁぁ!」
アマテラスは頭を押え、その場に崩れ落ちた。水蓮は印を結び、呪文を唱える。
「我が名において汝を従える…汝が真名を呼ぶ…神将・天照!」
白い光がアマテラスを包み込んだ。水蓮は力を使い果たし、その場に倒れた。
目を覚ますと見慣れた天井。水蓮は跳ね起き、妻戸の外に出る。空には神々しく月が輝いていた。
『月詠…月詠…!』
水蓮は月詠の名を呼んだ。刹那、水蓮の後ろに神気が降り立った。
『宇津萌…?』
「水蓮様…そんな薄着ではまたお風邪を召されますよ?」
宇津萌が持って来た上着に袖を通す。
『宇津萌、月詠は!?月詠はどこなの!?』
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