15人が本棚に入れています
本棚に追加
「水蓮、心配いらないよ」
声がした方を振り返ると、劉心が立っていた。
「月詠は異界で傷を癒しているだけだ…まだ意識は戻ってないが…」
劉心の言葉に安心したのか、水蓮の目からは涙が溢れた。
あの時水蓮が気を失ってから、光はおさまりアマテラスは消え、天照が立っていた。
彼は須佐の力に抗ったが、元の姿であるアマテラスに戻り、力を解放し過ぎ力を使い果たし、気を失ったのだ。
そこに劉心たちが気配を感じ現れ、劉心が水蓮を家へ、胡蝶が月詠を風で包み込み、異界へ連れ帰ったのだ。
『宇津萌、私を異界に連れて行って』
「水蓮様…!無茶です!」
『私月詠に会いたいの…!お願い…無茶は承知よ』
必死に言う水蓮に宇津萌は戸惑いを隠せない。劉心は水蓮に近付き、頭をなでる。
「わかった水蓮、宇津萌、胡蝶…頼むぞ」
「その必要はない」
低い声がして、水蓮は後ろを振り返った。
しばらく目を覚まさないと思っていた神将の姿が上着を羽織りそこに立っていた。
立っていたといっても柱によりかかり立っているのがやっとの状態。背中に届く黒髪は結ってなく、まだ呼吸も荒い。
最初のコメントを投稿しよう!