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劉心は水蓮の前に腰を下ろす。
「お前が生まれた時に母上…お前のお祖母様が予言を言ったんだ」
―この娘はいずれ未来を予知するであろう…―
劉心の母の予言は外れた事は一度もない。
この家に妻・未琴が嫁いで来た時も劉心の母は予言を言った。
―…この娘…人の過去を読み取るであろう…―
まだ未来詠みの巫女は他にはいない。この世で水蓮だけが未来詠みが出来る巫女であり、未琴は過去詠みの巫女なのだ。
血は争えん。母子ともに過去、未来を詠む巫女になるとは劉心も思っていなかった。
『じゃあ…今のは未来…?』
「だろうな…」
でも確かに過去に一度だけ未来のビジョンを見た事がある。あれは未琴が亡くなる一か月前、眠るようにして死んだ未琴の姿が脳裏をよぎったのだ。
その一か月後、未琴は死んだ。未琴は病気を患っていたのだった。
あの頃から水蓮は部屋に閉じこもるようになった。一人では寂しかろうと、常に月詠は隠形してそばにいたのだ。
何も言わずそばにいてくれた月詠の優しさが水蓮にとっては嬉しかった。
小さい頃からずっと水蓮のそばに、月詠はいてくれた。今までずっと。
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