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地界の“転生の門”の前には多くの民でうめ尽くされている。
女悪魔1「魁慧様よ!」
女悪魔2「あの腕で抱かれてみたいわ~」
チラッと視線を声がした方に向けると、女どもがキャーキャーわめいている。
そんな中、自分を呼ぶ声がした。魁慧は辺りを見渡すと、
?「お~い!魁慧~!」
振り返ると懐かしい顔が目に入った。
魁「貴葉【たかは】兄さん!」
貴葉と呼ばれた青年は、魁慧と並ぶと少し高いくらいの身長。髪はダークブルーの不揃い長さで肩に届くか届かないか。
貴「おいおい…兄でもないのに『兄さん』はやめてくれよ…」
魁「いいじゃないですか。今日が最後ですから…」
貴葉はそうだなと呟いた。
貴「行ってしまうんだな…」
魁慧は何も答えなかった。
―D‐5ブロック担当班…門の前に―
魁「では…行ってきます…」
魁慧は一礼して、貴葉の前から門に向かって進んでいった。
?「……はぁ……はぁ…。あれ?お兄ちゃん…魁慧様は…?」
貴葉はまだ幼さの残る鈴のような声に振り返った。
貴「今…行ったよ、柚羽【ゆずは】。」
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