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少女は悠の肩を掴み、ゆっくり立ち上がる。
「私は神宮寺 舞姫【しんぐうじ まい】ですわ。さぁ参りますわよ」
『ってどこに?』
「早くなさらないと入学式に間に合いませんわ!」
足を引きずりながら走る舞姫を見兼ねた悠は舞姫を抱き抱え、走り出した。
舞姫は驚いていたが、何も言わなかった。
悠は体育館前で舞姫を下ろした。舞姫はジロジロと悠を見つめる。
「あなた…男ですの?」
舞姫は自分より頭一つ分高い悠を見上げた。
『この顔のせいで女に見られるけどね』
「なぜ女子校に?」
『女子校…?』
体育館の入り口には【桜林学園女子高等部入学式】とかかれた板が立て掛けられていた。
『うっそ~~~!!?」
悠の叫びだけが辺りに響いた。
「どうぞ」
ビジネススーツに身を包み、髪をまとめた女性が紅茶を運んできた。
『ど…どうも』
勧められた紅茶を飲むが、重苦しい空気の中で飲む紅茶は味がわからない。
悠は今舞姫に連れられ理事長室にやってきた。その舞姫はというと理事長を呼びに行っている。
「お待たせいたしました」
理事長が舞姫と一緒にやってきた。
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