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ケイサツが来る……!
そう思ったのが先か、足が動き出したのが先か、僕は気が付いたら夜の街道を疾風の如く駆けていた。
こんなに一生懸命走ったのはもう何年ぶりだろうか。
昔はこんなに綺麗には走れなかった。
体が凄く軽い。
生まれて初めて走ることの楽しさを知る。
熱が冷めていくのとともに、しだいに身体中の他の部位の感覚が失われていき、やがて残されるのは遂に、足の感覚だけになった。
暗闇に視界を奪われた肉体はもはや靴の意識も失って、ただ裸足の足の裏だけがざらざらした夜の街を駆けていく。
もっと、スピードを、上げてみようか。
そう思った時、つま先が何かにひっかかって前につんのめり、僕の意識は裏返った。
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