出逢い

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降りしきる雨の中で、藍は傘もささずに、子猫を抱き上げる少年を見ていた。◇☆高校の生徒らしく、制服は同じである。顔はさすがの雨でぼんやりとしか見えない。少年は子猫にボソボソと何か言ってから、そのままクルっと向きを変え、来た道を戻っていく。 「あ…」 声を掛けようか迷っていると、少年は足早に走り出した。藍は、ボー然と後ろ姿を見つめていた。 「藍っ!…こんな雨の日にびしょ濡れになって…。傘忘れたとかじゃないよな?」 遠くから藍の姿を発見した太郎が走ってくる。 「…うん。忘れちゃった…」 ふざけた表情を浮かべながら、藍は言った。 「…いくら、鈍いからって…。雨の日に忘れないだろ?フツー…何かあったの?」 「じ…実はね…」 「う、うん…」 少しためらいながら、言いづらそうにしている藍を、真顔で見つめる太郎。 「…。内緒だよ?」 「う…うん。」 「…朝から生理になっちゃって(>_<)」 「そっかぁ…そりゃつらいなぁ…。Σって、お前いつから女子になったんだよ?」 「あはは(笑)高校デビュー?」 「何だよぉ…真面目に聞いたのに…」 一連の冗談にうなだれる太郎。 「ゴメン(笑)大丈夫だよ。ありがとう、太郎。…ホントは朝からボーッとしてただけだから。」 申し訳なさそうに謝る藍。一度、段ボールの位置を振り返り、また太郎と騒ぎ始めた。
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