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霧の中を進んでいくと、ふいに美嘉の横を何かが通り過ぎていった。
さらに奥に行くと、それは増えていった。
そして、美嘉は気付いた。
横を通り過ぎていく物が、淡い光りを放つ物体。なんともおばけ屋敷にある、火の玉にそっくりだった。
「ねぇ…一応聞くけど、周りに飛んでいる物って何…?」
「これは、魂ですよ。」
「魂っ!?」
「だって冥界は死者の魂が、集まる世界。死者の魂を選別する場所ですから。」
「なにぃぃ!お前はあたしを殺す気か!?降ろせぇぇ!!」
死者の世界と聞いて、美嘉は降りるべく暴れだした。
「違いますよ。ここには私の親友がいるんです。彼にあなたを元の時間に帰してもらうんです!」
「そうなの?」
「はい。」
美嘉は暴れるのを止め、大人しくクライムにしがみついた。
「美嘉さん、見えてきましたよ。あの建物に私の親友がいます。」
前を見てみると、昔の中国の宮殿みたいな建物が聳(そび)えたっていた。
地面に降りてみると、建物はさらに大きく感じるものだった。
目の前には巨大な扉。
魂達は、扉を擦り抜け中に入っていた。
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