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「どうやって中に入るのさ?」
見た目だけでも重々しい扉。
二人だけで開けるのは、どう考えたって不可能。
心配している美嘉をよそに、クライムは微笑んでいるだけだった。
そして…、
「おーい、私だが開けてくれないか?」
いきなりクライムが大声で叫ぶと、暫くして扉がゆっくりと開いた。
「さぁ行きましょう。」
クライムは美嘉の手を引いて、中に入って行った。
建物内では、沢山の魂達が飛び交い、ある場所に向かって進んでいた。
そして二人は、広間のような場所に辿り着いた。
奥の方には浮いている三つの扉。真ん中の扉以外は、開け閉めがされている。
クライムがさらに進むと、巨大な机?みたいな物の一番上で仕事をしている人物が一人。
「ちょっと頼みたい事があるんだけど…エンマ。」
「またお主か…クライム…」
仕事をしていた男が、書面からクライムに目線を向けた。
濃い赤毛のくせっ毛で頬には逆三角の模様が二つ。帽子には大きな角。少しとんがった耳。
「お主の頼み事はいつも面倒で困る…って、誰だその小娘は。」
エンマと呼ばれた男は、仕事の手を止め、美嘉の事を見下ろした。
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