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「小娘じゃない!橘美嘉だ!」
「我にしてみればまだまだ小娘だ。で、クライム。頼みとは何だ?」
美嘉は小娘と呼ばれてご立腹だが、話は進んでいった。
「この子が時の海に落とされて…。だから、エンマにこの子を元の時間に帰してほしいんだ。」
それを聞いてエンマは、口元を押さえ考え込んだ。
よっぽど仕事が忙しいのだろう。
暫くしてエンマは立ち上がった。
「…引き受けよう。我の聖霊に送らせる。ただしクライム。
この小娘の書き換えに行くのなら、失敗はするな。それが条件だ!」
「わかった。有難うエンマ!」
そして、クライムは美嘉を置いて冥界を後にした。
「変わらんな…あやつは…」
「そうなの?」
「あぁ、変わらん。おっと、お主を送らねばな。鹿柳(かりゅう)!」
エンマが叫ぶと、影が盛り上がりそれは角の大きい鹿の形になった。
「お呼びですか、エンマ様。」
「この娘を元の時間に帰してやってくれ。」
「御意。」
鹿柳はすぐさま美嘉を背中に乗せると、冥界を出ていった。
「…クライム。今回は一苦労するぞ。」
そう言うとエンマは、仕事に戻った。
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