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東京:過去
「この辺にいる筈なんですけどねぇ…」
今クライムは独り言を漏らしながら、街中をあるいていた。
シャチは“厄”との戦いに参加できない為、どこかのビルの屋上に待機していた。
暫く歩いていると、親子三人がクライムの目に写った。
(あれが…小さい頃の美嘉さん…。)
両親に手を引かれ、楽しそうに歩いていた。
この後の悲劇も知らずに…。
(あっ!あいつは…)
親子の後をつけていたクライムは、美嘉を時の海に落とした男を見つけた。
その男もクライム同様、親子をつけていた。
「美嘉ちゃん。ここで待っていてね。すぐに戻るから。」
「知らない人が来ても、ついていってはダメだぞ。」
「それぐらいわかってるよ!心配しないで。約束守る!」
子供の美嘉は、胸を張って自慢げに言った。
それに安心したのか、両親は手を振り人混みに消えていった。
「……むぅ。」
両親がいなくなった後の美嘉は、寂しそうにうつむいた。
「寂しくなんか…ないもん。」
それを見ていたクライムは、美嘉に近づいて行った。
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