第一話-始まり-

21/22
27人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
「終わりだ…」 鎌を大きく振り被ると、そのまま男の体を切り裂いた。 「ぎゃあぁぁぁ!」 そして、男は地面に叩き付けられた。 しかし、切り裂いた筈の体は傷ついていない。 暫くすると、男の中から青白いものが出てきた。 「キサマっ!よくもオレのコンケツを!」 魂結とは、“厄”と人間の魂を繋ぐために必要な要素。 それを壊されれば、“厄”は人間を取り込めなくなるのだ。 そうなっては、“厄”は何も出来ない。 「消えろ…。もうすぐ時間なんでな。」 「ヤメロ…ヤメ…ギャアァァァ!!」 クライムは鎌で“厄”をなぎ払った。 消えていく“厄”を冷たい視線で見つめるクライム。 その瞳が、赤から青に変わった。 瞬間、クライムの体は地面に倒れた。 血液を失いすぎたのか、起きる気配はまったくなかった。 そして、暫くして空からシャチが降りてきた。 「たく…。気配が薄れたかと思えば、無理しやがって…」 シャチは器用にクライムを背中に乗せると、“時の海”への扉を開き、元の時間に帰っていった。 「なんで聖霊は“厄”と戦えねぇんだよ…」 と呟きながら…。 .
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!