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しかし、いくら考えたところで答えは出なかった。
「おらおら、そんな深刻な顔してんじゃねぇよ。治る傷も治んねぇぞ。」
いつの間にか消えていたシャチがいきなり声を掛ける。その手には、お粥に近いご飯といくつかのおかずが乗ったお盆を持っていた。
「なんでこいつが、俺達のことを覚えていたかなんて、そんなのどうだっていいじゃないか。」
「そう…ですね。」
「だったらまずは、朝飯食え。傷を治さねぇと、書き換えなんて出来ないからな。」
クライムはシャチからお盆を受け取ると、遅い朝食をとった。
それを無言で見つめる美嘉。
暫くしてシャチは部屋を出ていく。美嘉はそれに着いて行った。
一階に着くと、シャチは美嘉の方を見た。
「何故俺達のことを覚えていたかはわからねぇが、これだけは言っておく。俺達には関わるな。」
「なっ!?なんでよ!」
「書き換え師と関わると、お前等のような普通の人間にはろくなことがねぇぞ。」
シャチの顔は、本気で警告を伝えていた。
それに息を呑む美嘉。
「お前の為でもあるんだ。俺達には関わるな。」
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