27人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
そう告げて、シャチは戻ろうとしたが…。
「ちょっと、待ってよ…」
「………」
「あたしの為だって…」
美嘉の顔はうつむいて見えないが、握り締めている手が震えているのが見える。
「勝手に決めないで!これはあたしの人生なんだ。ろくなことがなくても、それぐらい覚悟の上だ!」
「……本当か?本当に覚悟の上か?」
「もちろん。」
シャチはまっすぐに美嘉を見据えると、大きく溜め息を吐き、二階のクライムの部屋に向かった。
「ちょっ…、まっ…」
「覚悟があるなら勝手にしろ。」
「うん!」
美嘉もシャチに着いていこうとした時…
ガシャーン!
「「!?」」
二階から食器を落とす激しい音が響いた。
「くそっ!」
シャチは急いで二階に駆け上がる。美嘉もそれに続く。
クライムの部屋に入ると、床に食べ物と食器が散乱し、クライムは口を押さえて何かに耐えているようだった。
「クライム!」
シャチが慌てて駆け寄ると、クライムの背中を撫で始めた。
「体調が悪いならすぐ言えって言っただろ!」
撫でながら言うと、クライムはすまなそうな顔をシャチに向けた。
.
最初のコメントを投稿しよう!