第二話-存在理由-

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そう告げて、シャチは戻ろうとしたが…。 「ちょっと、待ってよ…」 「………」 「あたしの為だって…」 美嘉の顔はうつむいて見えないが、握り締めている手が震えているのが見える。 「勝手に決めないで!これはあたしの人生なんだ。ろくなことがなくても、それぐらい覚悟の上だ!」 「……本当か?本当に覚悟の上か?」 「もちろん。」 シャチはまっすぐに美嘉を見据えると、大きく溜め息を吐き、二階のクライムの部屋に向かった。 「ちょっ…、まっ…」 「覚悟があるなら勝手にしろ。」 「うん!」 美嘉もシャチに着いていこうとした時… ガシャーン! 「「!?」」 二階から食器を落とす激しい音が響いた。 「くそっ!」 シャチは急いで二階に駆け上がる。美嘉もそれに続く。 クライムの部屋に入ると、床に食べ物と食器が散乱し、クライムは口を押さえて何かに耐えているようだった。 「クライム!」 シャチが慌てて駆け寄ると、クライムの背中を撫で始めた。 「体調が悪いならすぐ言えって言っただろ!」 撫でながら言うと、クライムはすまなそうな顔をシャチに向けた。 .
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