第二話-存在理由-

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「クライムってさ、いつもこんな感じなの?」 「いつもじゃないさ。まぁ、風邪や病気にはかかりやすいな。」 ソファーに座っていたシャチは立ち上がり、出入口の外のドアノブに掛けてあるプレートを『OPEN』から『CLOSE』に変えた。 「なんでもあいつは、小さい頃から体は弱いみたいなんだ。」 「病弱体質なんだ。よくそれで書き換え師なんてやってるよ。」 「なんか…貫くものがあるんだろうな。」 「ふーん…」 美嘉は納得したようなしてないような、曖昧な返事をした。 シャチはそんな美嘉を見たが、すぐに目を逸らし、ちらかっている本を片付け始めた。 (本当のことは言えねぇよな…) 持っている本を、ぎゅっと握り締める。 (あいつ自身…知らねぇから…) 本を戻す音が、静かに部屋に鳴り響いた。 -数日後- クライムの容態も安定し、なんとか一階に降りてこられる程になった。 「あはは…迷惑おかけしました。」 「本当だぜ。いいか!これからは、ちゃんと具合いが悪いなら言え!」 「うん…わかった。」 クライムはソファーに座って、目を閉じて頷いた。 .
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