第1話

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1  「おーい。起きろ。んな所で寝てると、蹴るぞ」  アパートの階段を塞ぐように、そいつは座り込んだまま、爆睡している。  こっちは仕事で疲れてるから、熱いシャワーでも浴びて、さっさと寝ようと思ってるってのに。  「おい。聞こえないのか。邪魔なんだよ」  今は12月。  時刻は午前4時。  いくら酒を飲んでいたって、寒い。  家はすぐ目の前。  なのに、障害物が行く手を阻んでいる。  障害物は、揺すっても叩いても、一向に起きる気配がない。  この寒空に放置しておく事もできず、俺はそれを抱え上げ、部屋に入った。  
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