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私は立ち上がって、服についた砂を払ったが、服が濡れているために砂はほとんどくっついたままだった。 トウゴはタバコを消し、 「海は、不思議なんだ。どうしてか、こんなにも心が安らぐ」 と言った。 「不思議なんだ」 私はトウゴの言葉を反復した。海は『幼い私』を殺し、トウゴと引き合わせたのだ。 私たちは、歩き出した。トウゴもわたしもほとんどびしょ濡れのままで、私はトウゴの後ろ姿を追いかけながら少し可笑しくなった。 「そういえば、君、随分痩せたよね」 「うん、ずっと、お酒だけだったから」
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