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水面がみえた。 春の太陽光が反射して、それは、防波堤の上から見たときよりも神々しく光っていた。 私の吐く酸素は泡になって、水面へ向かってゆらゆらと溶けてゆく。私も一定のリズムで波に揺られ、海に溶けてしまいそうだった。 このまま呼吸を止めて、この世界と一体化してしまうのも、悪くないと一瞬感じた。 海のなかは、どこよりも静かだ。私の心臓の音しか聞こえない。 私は目を閉じる。「これが見たかった」というトウゴの言葉を、頭のなかで反復する。 それは何よりも、私が毎日大量のお酒を飲んでまで、求めていた感覚に似ていた。
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