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――死んだかと思った
私がそう呟くと、トウゴは、濡れて額にひっついた私の髪を、その長い指で横に分けて、言った。
「死ぬかと思った」
私は今までで一番トウゴの近くにいた。意識ははっきりとしていた。状況からして、多分トウゴは飛び込んでまで私を助けたのだ。服のままで。
夢のようだ。
トウゴは片腕で私を抱え、もう片方では水をかき、あっという間に岸までたどり着いた。トウゴがこんなにも泳ぎが上手だということを、私は知らなかった。
空気に触れたのと、酔いがさめたせいで、濡れた私の体は随分と冷えた。しばらく寒さを我慢していたが、限界がきたので仕方なくトウゴに訴えた。
私たちは近くにあったコンビニでタオルを買った。店員の驚き顔がなによりも印象的だった。
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