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「それで、私、多分そのとき五歳だったんだけど」 「うん」 「酔ってて怒った父に、今日みたいに海に落とされたの」 「うん、」 「それで、今までそのときの記憶がほとんど無かったの、落とされた、っていう事実しか覚えてなかった」 「たしか、実家、海が近かったよね」 「そうなの」 私は深呼吸をした。潮風がいっぱいに肺へと入った。さっきも思いっきり海水を飲んだため、気分が悪くなって少し咳き込んだ。 「なんか、君の酒癖が、海と関係しているような気がしたんだ」 トウゴは言った。
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