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「なぜ?」 「たぶん君は覚えていないんだろうけど、君は僕に酔っているときの感覚のことを話したんだ」 「何か、言ってたの?」 本当に私はそんなことを覚えていなかった。もしかして酔っているときに、トウゴに変なことでもしたかもしれないと考えて、ぞっとした。 「君は『大きな光に包まれたような、』とか『宙に浮いてそのまま溶けてゆきそうな』とか、多分そんなことを言った」 「そんなこと、言ったんだ」 「ぼくは、よく一人で潜るために海に来るんだけど、そのときのぼくの感覚と、よく似ているような気がして」 私はトウゴの泳ぎの上手さがあまりに意外だったことを思い出した。 「それで、なぜぼくが潜ることに熱中したんだろうって考えて、そしたらやっぱり、海でしかわからない感覚が欲しいんだろうなと思って」 「わたしも、海のなかがあまりに綺麗で、心地よくて、懐かしくて、驚いたの」
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