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追いかけなきゃ、と思った。
私も必死で起き上がり、大きなブロックに手をかけ、足をかけ、ひとつひとつ登った。パンプスのことは、もうとっくにどうでもいいものとなってしまった。
めまいのせいで何度も、手がすべり、足がすべり、私はブロックの山から落ちそうになった。だけどトウゴの持つ絶対的なエネルギーに吸い寄せられるように、私はそのごつごつした山を、不器用な猿のように登った。
それは、恋人の隣を歩くというよりは、ちいさな子供が母親にくっついて歩く行為と似ているかもしれない、と思った。
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