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「あ、」 そう言うのと、私が水中に吸い込まれるのと、ほぼ同時だったと思う。そのせいで、私の口にはけっこう沢山の海水が入った。鼻の穴からも水を吸い込んだ。一気に酔いがさめた気分だった。 一生懸命もがき、水面に上がろうとすればするほど、私はどんどん沈んでいった。私の口からはまたたく間に酸素が出てゆき、代わりに海水が入ってきた。 トウゴが助けに来るなんて思っていなかった。ただ、トウゴの後ろを歩かなければ、あの背中は、髪は、トウゴは、永遠に私を置いていってしまう。 それだけを考えていた。
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