99

3/15
前へ
/37ページ
次へ
きっとすべてがどうでも良い事の連続だって事に気が付くよ(笑)  オレとナスは今だからこそ最高の親友だけど当時はお互いの事をそれほど理解出来てなかった気がする。何に相手が傷付き、何に相手が怒るのかを知らなかったんだ。たまにケンカになる事があって、でもいつの間にか普通に話せるようになってる。そうやってだんだん仲良くなっていった友達はきっとこれからも一生の親友で居られる。アイツを信用しきってるから言えるんだけどね。もしこれを読んでいる人で本気でケンカできる奴がいるって人は実は幸せなことなんじゃないかな。  何が火種だったかは覚えていない。たぶんどっちの力が強いかみたいな他愛もない力比べだったと思う。つい力が入っちまったオレがナスを倒してアイツは顔を怪我した。それで一気にシラケたその場で、オレはすごく後悔したのを覚えている。本当だよ(苦笑)  もともとその日は、何をするあてもなく四人集まり時間をむさぼっていた。あの頃は時間なんていくらでもあるって思えたんだよね。  オレは一人で座りこんで当時貴重だったタバコ(手に入れるのがドキドキだったからね)をふかしていた。すごく長い間そうしていたと思う。ふとボスが近寄ってきた。普段無口なボスは、こんな時妙な威圧感があった。それでもあの頃オレの1番の理解者で仲のよかったアイツに噛み付くことはしなかった。 「カスが前からやりたがってた原チャリパクり行こうか?」  おい!オレが言い出しっぺみたいな言い方してるよ!つーか、初耳だし!  内心そんなことを考えてたと思う。だってアイツはいつも唐突だったんだ。それでもアイツの言葉は、あの場のオレをわかせた。  「いいねー。」  発してから思った。きっとこっちが本音だなって。 いろいろな疑問も残っていた。場所、道具、パクり方。ましていままで地元の族とは一線を置き鉢合わせを避けて行動してたオレたちが、そんな大胆な行動に出るなんて。最高にワクワクした。  オレたちが向かったのは、地元に2つある駅の利用者の多いほうだった。たかだか人口一万人ちょいの町に同じ線の駅を二つも作ることは、かのT武鉄道も考えてなかったことだ。西側の駅周辺の住民がここにも駅をこさえないと線路を引かせないと頑張って、ついに高度成長期の余裕ある鉄道会社に駅を1つ増やさせてしまった。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加