あの木

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 しばらくの間、取り留めのない会話をしながら歩いていたら、唯山の入口に着いた。  唯山は、比較的小さく、山道も整備されているので、素人でも簡単に登れる山だ。  少し狭い山道を、小枝は葉平の後ろについて歩いて行った。  そうして、1時間も経たないうちに、頂上へ辿り着いた。 「着いたよ。ほら、あれ見て」 「わぁ~、スゴい! 展望台だ!」  2人のテンションは一気に上がった。 「はやく上がろう!」  小枝は、葉平を急かしつつ駆け足を展望台を登っていった。  展望台を登り切った小枝は、目の前の景色に目を奪われた。 「すごい……黒楼区が一望できる……」  そこには、今まで過ごして来た街並みがあった。 「だろ! 意外と知られてないんだぞ、此処」  葉平が後ろからゆっくり近付きながら言った。 「あっ、見て! あそこが学校だよ! 私の家も葉平の家も見える!」 「あっちにはいつもの公園があるぞ」 「うわぁ!」 「こうやって見ると、このまちも広いもんだな」 「そうだね!」
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