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そしてしばらくの間、沈黙が流れた。それを破ったのは小枝だった。
「もうすぐ……お別れだね」
「そうだな」
「悲しいね……」
「ああ……」
「グスンっ!」
その声に反応して、葉平は小枝の顔をみた。
彼女の目からは、大粒の涙が溢れ出していた。
「泣くな! もう二度と会えないワケじゃない」
「うん! そうだね」
小枝は、涙を必死に堪えた。
それを合図に、2人はまちに背を向けた。
「あの木のように、ずっと此処に居たいね」
「そうだな。まちの変化を常に感じられる良い場所だ」
「葉平」
「なんだ?」
「今度、私がこのまちに戻って来たら、また一緒にココ来ようね!」
「もちろん。そのつもりだ」
葉平は笑顔で答えた。
すると、小枝は小指を出して言った。
「約束だよ!」
葉平も小指を出した。
「おう! 約束だ!」
『指切りげんまん嘘付いたら針千本のーます! 指切った!』
こうして、2人は展望台を後にした。
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